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第448号「この夏は、あちこちで、どこでもテレビが流行りそう」

[2014.07.28号]

(前号の続き)停車しているワンマンカーの写真を遠目から撮りながら、列車に近づき、乗り込むと、ユニフォーム姿の女性が迎え入れてくれた。性格が良さそうな、かわいらしい娘さんだった。《ワンマンじゃないんだ。今日は、日曜だから、特別サービスなのかもしれないな》と思いながら、写真の撮りやすい席を探して荷物を置いた。列車の中には、老若男女を問わず、乗り鉄、撮り鉄らしき人が多かった。まもなく列車が走り出し、女性のアナウンスが流れて、「観光アテンダント」だと自己紹介をした。途中の「阿仁合」駅まで、お供をしてくれるという。

 本稿を書きながら、気になったので、ネットで「秋田内陸線」を検索してみると、6月30日に、社長交代があり、JTB東北・法人営業秋田支店前営業担当部長の佐々木琢郎氏(59)が就任したという。
 翌日の記者会見では、「経営は厳しいがなんとしても存続を」と話しているが、《やはり赤字路線だったんだ》と思う。秋田県の存続基準2億円を下回っているものの、毎年2億円近い赤字のようだ。
 車内では、アテンダントの娘さんが、ワゴンを押して回ってきてくれたが、結局、何も買わなかった。もっと、少し強引なくらいに、「ニコッ」と笑ってくれれば、何か買ったかもしれない、と思うが後の祭りだ。写真を撮らせてもらったのに、何もお返しをしていない。また行くといっても、今度またいつ行けるか、こっちのふところ具合だって、安泰ではない。人がたくさんやってきて、列車に乗ってくれるのが一番いいのだろうが、通常運賃で、利益を稼ぐとなったら、たいへんなことだ。車両のキャパシティーがあるから、たくさん押し寄せたってそう簡単にはさばけない。日本では、いけないのかもしれないが、近隣の人が利用する「生活運賃」と旅人が払う「観光運賃」と2段構えの料金体系があってもいいのではないだろうか。
 きっと、地元出身の帰省客は、どちらに入るのか、という議論になるから、そこは中間運賃も用意したりして。
 鷹巣から角館までの乗車券が1670円。急行券が320円。もう1000円、余計に遣ってもらえれば、だいぶ赤字も減るだろう。運賃がだめなら、何か買ってくれと、もっと強く訴えるしかない。一度訪れた観光客のメールアドレスを聞き、季節の産物を売ったり。社員のみなさんが毎日更新しているブログもあり、頭が下がる。
  http://blog.livedoor.jp/nairikutetu/  
《昔、存続の議論があったなあ》といわれる日がくればいいなと思う。列車で、車窓の風景を見るだけでも、安らかな気持ちになれるので、一度乗車されることをお勧めします。

 2時間ほどの旅も終わりに近づき、角館の駅が見えてきた。車中でパンを頬張ったものの、腹も空いてきたので、駅前のフォルクローロ角館というホテルのレストランで、稲庭うどんを食べることにした。
 「フォルクローロ」という名前が、角館にしては新しすぎるので、ネットで検索してみると、JR東日本が運営しているホテルだった。8月23日の「大曲の花火を見に行こう!」というキャッチコピーが目に飛び込んでくる。
 《もう、夏なんだなあ》という思いと、《8月23日は、もう夏の終わりなんだよなあ》と、もう1年の半分を過ぎてしまった今日という日を実感する。
 ちなみに、8月23日の宿泊料金は、「1万7000円~」となっていたから、通常の2倍ほどになる。これは、いたしかたないことか。《う~ん。そうなると、内陸線の運賃だって、日によって倍になっても……》と思うが、まあ、それは無理な話だろう。ホテルの料金システムとは違う。

 稲庭うどんを食べようと、席に着くと、女性が水を持ってきてくれた。どのお店に行っても見られる当たり前の光景だが、ひとつだけ違ったのは、その女性の顔立ちや雰囲気が、いまだに名前が出てこないのだが、なんとかという女優に似ているのである。きめ細かい肌つやは、今から出てくる稲庭うどんのつるつるぴかぴかをはるかに超えていた。
《いるところにはいるもんだなあ》と思った。
 
 料金を払って、腹もくちくなったところで、一目散にタクシー乗り場に向かい、乗り込んだ。年配の運転手さんに、「武家屋敷をぐるっと回って、また駅まで戻ってほしい」と頼んだ。武家屋敷が近づいてくると、車の速度を落として、いろいろ説明してくれた。「生もろこし」というのぼりが目に入ったので、「『生もろこし』って何ですか?」と聞くと、「ああ、食べさせてくれるから、降りて食べてくるといい」といって車を止めてくれた。カメラを持って車を降りたが、5時を回って、閉店の準備をしているので、武家屋敷の写真だけ撮って車に戻った。

 運転手さんは、「昔は、ここら辺が繁華街で、客がたくさんいた」というような話をしながら、駅に向かったが、「あんた、『もろこし』食べらんかったね。駅前にお店があるから食べていくといい。気に入ったら、お土産にしなっせ。ここの土産は喜ばれるから」といって、唐土庵の前で、車を止めた。http://www.morokosian.jp/user_data/ekimae.php
 お店に入っていくと、二十歳くらいの女性店員が出てきて、『生もろこし』の食べ比べを勧めてくれた。いわれるままに、いろいろつまんでみた。
 和菓子である。通ではないので、それ以上は説明できない。食べる表情が面白かったのか、女性店員がクスッと笑った。ちんちくりんのオヤジが、神妙な顔をして、もろこしを頬張るのが面白かったのかもしれない。
 理由は、わからないが、彼女の「物差し」では、おもろい旅のおっちゃん、だったのだろう。試食をして、お茶をいただいて、手ぶらで出るわけにもいかず、1620円の詰め合わせを1つ買って店を出た。
 無意識であろうが、「生もろこしって何?」と興味を持った旅の者をそのまま帰さず、お店に案内して、お土産の袋をぶらさげて帰させる、というのは、観光地の運転手さんのかがみだと思った。それだけ、地元のお土産「生もろこし」に自信を持っているということでもあるだろうが。

 角館の駅から秋田までは、駅員が、「指定席、とらなくていいですよね。安い方で。空いている席に座れると思いますから……。もし指定席券を持っている人がきたら、他の空いている席に替わって下さい」ということで、立席特急券をもらった。角館で降りる人も多く、空いた席に座った。駅員さんは、大曲を経て、秋田までの約1時間だから、わざわざ指定で乗ってくる人も少ないだろう、ということで、安い立席特急券にしてくれたのだろう。だが、駅員さんのいった通り、大曲から指定席券を持ったお客さんが乗ってきて、少し離れた席に移動した。

 大曲からは、列車の進行方向が変わる。「座席の向きを変えられる」とアナウンスがあったが、誰も変えようとしないので、そのまま、後ろ髪を引っ張られるように秋田に到着した。
 19時過ぎに、駅前のα1にチェックインをして、すぐにマッサージを頼んだが、「日曜日で先生はお休み」ということだった。
 窓を開けると、眼下の駐車場で、中学生くらいの男子が15人くらい集まって、バスケットの真似事をしていた。この世代の子供達が大勢集まって、遊んでいる光景を見るのは久しぶりだ。

 ゴロっとベッドに横になると、しばらくそのまま眠りに就いた。目が覚めると、21時少し前だった。腹もだいぶ空いてきた。
 飲みに出ないで、そのまま寝てしまうのも何か仕事をし忘れたようなので、支度をして、ホテルを出た。日曜なので、休んでいる店もあるようだ。ホテルの周辺を一回りして、「秋田長屋酒場」の木戸をくぐった。
 日曜の夜の9時半過ぎなので、人は少ない。囲炉裏の回りに、席があって、店の様子が見渡せる一番奥に座った。同じ並びには、2席ほど空けて、中年の男女が座っていた。
 お通しを持ってきた二十歳くらいのアルバイトの女性にビールを頼んだ。ビールは、すぐに来たが、つまみはまだ決まっていなかった。メニューを見ると、たくさんの美味しそうなものがあって、決めかねる。
 いかの天ぷらが美味しそうなので、「もつの煮込みといかの天ぷら」というと、しばらくして、もつの煮込みは終わってしまった、と奥から聞こえた。
 その旨を伝えにきた同じ女性に、煮込みのかわりに、銀ダラの焼き物を頼んだ。やがて、いかの天ぷらが運ばれてきたが、大ぶりの天ぷらが5本くらいあって、これだけで、腹がいっぱいになりそうだった。
 Mさんというアルバイトの女性に、「こんなに食べられないなあ」というと、静かに笑っていた。これで、490円は安すぎる。でも、こちらではこんなものなのかもしれない。
 
 ビールを飲みきらないうちに、日本酒に移った。1合680円のものが、3銘柄頼むと1600円だという。
 いつも1時くらいまでやっているというが、お客さんの引き上げ具合からみると、12時前には終わるだろう。今はもう10時半。それまでの1時間ほどで、3合飲みきれるかな、とは思ったが、引くわけにもいかず、「高清水」と他に2銘柄を頼むと、Mさんが、一升瓶が6本入る木枠に3銘柄の一升瓶を入れてやってきた。
 目の前に、皿、その上に升、そしてその中にグラスを入れると、順番に、3銘柄を注いでいった。そこまで入れなくてもいいのに、というほどなみなみと注いでくれた。

 順番に頼んでいけば、飲めそうだが、いきなり目の前に、3合の酒が並べられると、けっこう威圧感があって圧倒される。
 しかし、いけるかもしれない。いけなくても、いけるところまではいこうと、高清水からちびりちびり飲り始めた。
 隣の男女カップルは、次から次に、料理を頼んで、平らげていく。すごい食欲だな、と感心していると、女性マネージャーと話し始めた。どうやら、実家が近いようである。

 そのうち、アルバイトのMさんと話し始めた。Mさんは、函館の出身で、秋田県立大学の学生なのだそうだ。すると、突然、女性が、「どううちの息子。イケメンで189あるよ」とアプローチした。
 Mさんは、「わたし、160くらいでいいんです」とさりげなくかわしていた。

 Mさんと女性の会話はしばらく続いて、ちょうどよい酒のさかなになった。
 しかし、その男女カップルが帰り、いよいよ最後の客になった時、「もったいないから最後まで飲ませてくれ」とはいえず、2杯目と3杯目のお酒は、半分ほど残ったまま引き上げざるをえなかった。
 木戸を出ると、女性マネージャーが、火打ち石を打って見送ってくれた。(い)


【目次】

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   ~リマックス方式に対応。1筐体で2TS信号を処理する高密度設計で省スペース化を実現~

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◆10.「フルーティー侍」 第4回 衛星放送協会オリジナル番組アワード
   -アニメ番組部門 最優秀賞を受賞!

◆11.「第4回衛星放送協会オリジナル番組アワード」最優秀賞 発表

◆12.CMerTV、夏の高校野球オンデマンド動画へのCM配信

◆13.NHK放送研修センター《ケーブルテレビ研修》案内

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