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第449号「高温、多雨・多湿、強風・竜巻、地震との我慢くらべ」
[2014.08.13号]
6月23日は、朝早く起きて、宿泊先のα1から秋田駅に向かい、羽越本線に乗り、羽後本荘に向かった。目指すは、由利本荘市CATVセンターである。
由利本荘市は、平成の大合併により、2005年(平成17年)3月22日に本荘市と由利郡7町(矢島町・岩城町・由利町・西目町・鳥海町・東由利町・大内町)が合併して発足した。 面積は県内最大(秋田県の面積の十分の一)で、神奈川県の面積の半分に当たるという。
毎年5月下旬頃に行われるNHK放送研修センターの新人の制作研修の際に、何度か参加されていて、夕方の情報交換会で、名刺を交換する度に、《機会があったら、ぜひ伺いたい》という思いを募らせてきた。今回は、絶好の機会である。ただし、アポは入れていない。突然の訪問である。でも、ここまで来て、顔を出さずに帰るわけにはいかない。とりあえず、名刺を置いて、外観の写真だけでも撮らせていただこうと思っていた。
由利本荘CATVセンターの前身は、旧大内町情報センターである。『ケーブル年鑑』を作り始めた1991年の頃から、ぜひ機会があったら足を運んでみたいと思っていた。それが、いよいよ実現する。
羽後本荘駅に着くと向かいのホームに、ワンマンカーが止まっており、跨線橋を渡って行ってみると、列車には、『鳥海山ろく線』と表示があった。列車の側面には、『おばこ号』と大書されている。「乗り鉄」の血が騒ぎ、すぐに、とりあえず乗車した。この列車には、かすりの着物を着たアテンダントが乗っていたので、行って帰って来る時間を聞いてみると、片道40分。帰りの列車の時間を聞いてみると、午後のスケジュールに影響の出ない範囲なので、そのまま、往復してみることにした。
しばらくして、列車は動き出した。お客には、地元の人もいるが、やはり観光客が多い。鉄道ファンと明らかにわかる男性、女性もいた。アテンダントの女性は、B4サイズほどの大きさに引き延ばした鳥海山の写真の束を持って、通路を回り、季節季節の美しい鳥海山の姿をPRしていた。写真集がないのかな、と思ったが、聞いてはみなかった。あれば(2000円くらいなら)買ったかもしれないが、「買って!買って!」という雰囲気はない。遠く広がる田んぼの緑が目を休めてくれる。外の景色も遠目に眺めたが、線路沿いに立っている電柱にケーブルテレビの線が張られているかも注視した。アンプがあったので、ここら辺にも線が張られていることがわかった。
月曜日なのに学校は休みなのだろうか、高校生のようなカップルもいた。女の子は、けだるそうにカップ麺をすすっていた。途中から乗ってきた18歳くらいの女性は、席に座ると、すぐに鏡を出し、化粧を始めた。列車の中で、化粧をする習慣は、全国に広まっている可能性があるな、と思った。
おそらくカレと会うんだろうが、この奥にデートスポットのようなところがあるんだろうか、と思っていると、西滝沢駅が近づいてきたところで、もう一度鏡で化粧の出来具合をチェックすると、《よし》っとばかりに鏡をたたみ、バックにしまい、前の運転手脇の料金箱の方に歩いていった。友人カップルが乗り合わせていたようで、なにやらにこやかな笑い声が聞こえてきた。
列車が止まり、彼女は、元気に降りていった。無人駅の改札には、カレらしき男の子がひとり立っていて、彼女の姿を見ると、ニコリと笑った。《若いっていいよなあ》と思った。
列車が走り出すと、アテンダントの女性が、鳥海山が望めるとアナウンスした。みんな、列車の前に押し寄せ、カメラやスマホをパチパチやった。ちょうど雲の合間からのぞいた頂上をとらえることができた(前号の表紙)。終点の矢島駅からは、雲が掛かって鳥海山を拝むことはできなかった。写真を撮れたのは、ラッキーだったのだろう。
列車の車庫には、『出羽の冨士』(佐藤酒造)と『天寿』(天寿酒造)の看板が掛かっていた。その日の午後訪れた秋田ケーブルテレビでは、新本社屋開設記念式典の際に、参加者に配られたお酒をお土産に頂戴したが、そのお酒は、佐藤酒造にお願いしたものだということだった。鳥海山のふもとでは、おいしいお酒が造られているのである。
帰りの列車が出発すると、窓の外に動くものがある。何だろうと、目をこらすと、旅行センターに座っていた年配のおばさんが、幟を振って見送っている。何か、戦時中の学徒出陣のような感じだった。
帰りも、幼い男の子2人を連れた若いママが、列車の前方に座っている。5歳と3歳くらいだろうか。上の子は、鉄道好きと見えて、運転手の様子を見たり、窓の外の様子を見たり、動き回っている。
中程を過ぎたあたりで、その子が、「あ~、撮り鉄だあ~」といった。5歳の子が、「撮り鉄」という言葉を知っているのかと驚いたが、窓の外を見ると、たしかに、撮り鉄が、ホームに入ってくる列車にカメラを向けていた。親子は、終点のひとつ前の駅で降りていった。列車好きな子供のために、矢島駅まで、往復の旅を楽しんだのだろう。
羽後本荘の駅で降りると、すぐにタクシーに乗った。帰りの列車の時間までには、1時間しかない。運転手さんに、「由利本荘の市役所に行って写真を撮り、その後、由利本荘CATVセンターに行って写真を撮って、それから羽後本荘の駅まで戻ってくる」と伝えると、「ケーブルテレビに行ったのなら、近くの羽後岩谷の駅から乗った方がいい」というので、そうしてもらうことにした。
由利本荘CATVセンターまでは、20分ほど掛かった。外観の写真を撮って、中に入り、「突然ですが」と事情と身分を明かして、「近くまで来たので、足を寄せた」と伝えた。対応してくれた方は、「昨日(22日)、加入者の感謝イベントを行った」といっていた。大勢のサプライヤーさんも駆けつけたのだろう。タクシーを待たしてあるので、「今度、またゆっくり来ます」といって、センターを後にした。(由利本荘CATVセンターの加入者感謝イベントに参加し、翌日、秋田ケーブルテレビを訪れたサプライヤーのNさんが、その日、その晩、川端で合流し、たいへん印象深い秋田の夜を過ごすことになった)
タクシーの運転手さんに、羽後岩谷の駅前にある「大内総合交流ターミナルぽぽろっこ」に行ってほしいと頼んだ。何か珍しいお土産はないか、探すためだ。青々とした田んぼの中を走り、ぽぽろっこに着いた。運転手さんを待たせたまま、中に入って、お土産を6000円ほど買い込んだ。
一度戻って荷物を置き、今度は野菜を売っているコーナーに向かったが、こちらは、買いたいものの、帰りの荷物が非常に重くなるので、自重した。
車に戻ると、運転手さんは、「駅、そこだから。その階段を上ると、改札があるから」といった。駅までは、もうしばらく走る必要があるのかと思って、待っていてもらったのだが、何のことはない、「ぽぽろっこ」は駅前だったのだ。
タクシーの運転手さんは、待っていることもなかったのだが、待っていてくれたのだ。しかも、メーターを止めて。礼をいい、5000円を払って、駅へ続く階段を上った。
7月24日。その日は、湯島にいた。あるセミナーを聞いて、秋田出身の古い友人と、いつもの「華の舞」にしけこんだ。先日、秋田に行ってきたことを話し、地元の話をより詳しく聞くことになった。「秋田出身」というので、てっきり、秋田市の出身かと思い込んでいたら、そうではなく、秋田県の南西部、山形との県境に近い町の出身だという。
「仕事が詰まっていて、あまり寝ていない」、しかも、「明日朝一番で、大事なプレゼンがある」というのに、ふるさとの話になると、堰を切ったようにいろいろな話が飛び出してくるから不思議だ。
結局、少し遅れて加わったひとりを含めて、3人で、かなり飲んでしまった。翌日、大丈夫だっただろうか。
7月31日。NHK放送研修センターでは、13時から『ケーブルテレビ何がナンでも加入促進』の研修が行われていた。少し遅れて、14時近くに、後ろからそっと入って、オブザーバー席に座った。資料を開くと、参加者名簿があった。そこに、先日お会いした由利本荘CATVセンターの方のお名前があった。
休み時間に、「先日はどうも、突然お邪魔いたしまして」というと、2度目の『突然』に驚いた様子だった。夕方からの懇親会で、いろいろ話をうかがった。もちろん、他の参加者のみなさんとも。
結局、最後は、6人で、成城学園前の『居酒屋こじま』に繰り込み、10時過ぎまで、情報交換会の続編を行った。
帰りの電車の中で、スマホをコンセントに差し込んだままだったことを思い出した。翌日、NHK放送研修センターまで、スマホを取りにいった。暑い夏の日だった。(い)
【目次】
◆1.《フォトレポート》第39回はむら夏まつり
◆2.第40回「日本ケーブルテレビ大賞」
番組アワード、グランプリ (総務大臣賞) ほか各賞発表!!
◆3.「ケーブルコンベンション2014」開催
◆4.「ケーブル・アワード2014 第7回ベストプロモーション大賞」グランプリ決定!
◆5.富士吉田市
大雪災害の教訓から地元ケーブルと協働で、データ放送による防災情報を配信開始
◆6.ケーブルテレビ局向けスマートTV“cottio”BOX サービス いよいよ提供スタート
◆7.新サービス「ちたまる絆サービス」の開始
~高齢化社会を健康と安心でつなぐ~
◆8.IP-VOD「milplus(みるプラス)」
4Kコンテンツの配信トライアルを2014年秋に開始
◆9.横浜市旭区と横浜ケーブルビジョン(YCV)「災害時における放送等に関する協定」を締結
~YCVチャンネルで緊急時の災害情報等を提供~
◆10.伊勢原市の防災行政無線の告知放送を
「J:COM 防災情報サービス」で9月1日から配信開始
◆11.ケーブルテレビのデジアナ変換終了に向けたブルーバック画面表示の実施
結果について―平成27年3月までの円滑な終了を目指して―
◆12.子ども向け人気オリジナル番組「ハッピー!クラッピー」のオープニング曲ほか、
CD未発売のハピクラワールド楽曲をドワンゴジェイピーで初の音源配信開始!
◆13.正式オープンに先立ち「カートゥーン ネットワーク アマゾン」限定公開
~年間パス保有者を対象に最新ウォーターパークの限定公開開始~
◆14.『西岡徳馬と袴田吉彦のソウル・仁川満喫術!』 旅チャンネルで8月放送!
男性2人でカジノやソウル・仁川の最新スポットを巡る旅!
◆15.“心も体も肌も美しく!” ひとつの美容キーワードで温泉を紹介!
「石井宏子のキレイになる温泉」旅チャンネルで8月放送開始!
◆16.NHK放送研修センター《ケーブルテレビ研修》案内
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